生活習慣病を管理し、
重篤な病気を予防しましょう。
生活習慣病とは、不規則な食生活や食べ過ぎ・運動不足・過度の飲酒・喫煙・ストレスなどの生活習慣が原因となって起こる病気のことで、高血圧・糖尿病・脂質異常症・肥満などがあります。
生活習慣病の怖いところは、自覚症状がほとんどないことで、気づかずに放置しておくと動脈硬化が進行し、心筋梗塞・心不全・脳卒中・腎不全などの重篤な病気を引き起こす原因となります。
これまでの循環器疾患の治療経験(心筋梗塞・心不全)から、生活習慣病の管理がいかに重要か痛感しています。命に関わる重篤な病気を少しでも減らすために、早めの予防・治療を行うことが大切です。
生活習慣病の例
高血圧
高尿酸血症
糖尿病
骨粗しょう症
脂質異常症
肥満
生活習慣病によって
引き起こされる病気の例
心筋梗塞
心不全
脳卒中
腎不全
生活習慣チェック
次のような生活習慣はありませんか?
下記のような生活習慣がある方は、自覚症状がなくても生活習慣病になっている場合があります。ぜひお早めにご相談ください。
- 塩分の
とりすぎ - 過食や
偏った食事 - 喫煙
- 運動不足
- お酒の
飲みすぎ
生活習慣病・
一般内科の例
高血圧
高血圧は、脳卒中や心臓病(狭心症・心筋梗塞・心不全など)の最大リスクであり、今でも喫煙と並び、死亡原因のツートップです。
ただ、自覚症状がない場合がほとんどのため、健診などで指摘されていても放置されている方も多く、適切に治療されている方は30%ほどです。
血圧が高い状態が続くと、血管が傷つき、全身の動脈硬化が進行し、脳卒中や心臓病、動脈瘤や腎不全など命に関わる合併症を引き起こしていまいます。まずは家庭血圧の測定と生活習慣の改善を図り、必要に応じて薬物治療を行っていきます。当クリニックでは、オリジナルのパンフレット・血圧手帳を用いて、生活習慣の改善を行いながら患者さんと一緒に高血圧治療に取り組んでいます。
オリジナルのパンフレット・血圧手帳
日常生活のポイント
今から改善できる生活習慣のポイントとして、以下のようなものが挙げられます。規則正しい生活はもちろん、高血圧の原因となるストレスを溜めない工夫や、がん・心筋梗塞・脳卒中等の合併症を引き起こす喫煙を止めること、心臓に負担をかけないような入浴の方法など、日常生活を見直すことが高血圧を悪化させないために大切です。
- 規則正しい生活
- 十分な睡眠
- 適度な運動※1
- 食事(減塩)※2
- お酒は適量に※3
- 禁煙
- 心身のリラックス
- 入浴の見直し※4
- 運動は、早歩きや水中歩行などがおすすめですが、時間がない方などは普段の買い物や掃除など、日常生活に取り入れやすいものでも構いません。
- 減塩の食事では、摂取する塩分は、1日に6g、1食で2gが目安です。
- 飲酒は毎日ではなく1週間に3~4日程度、1回でビールでは中瓶1本(500ml)、日本酒では1合(180ml)、焼酎では半合弱(100ml)、ワインでは2杯(240ml)までを目安にしましょう。
- 入浴時は浴室・脱衣所は事前にシャワーや暖房で温めておく、湯舟の温度は38℃~42℃に設定し5分~10分程度でお湯から上がる、冷水浴やサウナには入らないなどの点に注意しましょう。
家庭での血圧の正しい測り方
血圧は朝と夜に以下のタイミングで測る習慣をつけましょう。測定前の飲酒・カフェインの摂取は控えましょう。
-
起床後1時間以内に、トイレを済ませてから、
食事やお薬を飲む前に -
トイレを済ませてから、就寝前に
● 家庭血圧 降圧目標
前期高齢者・中年者・若年者 (15~74歳) |
後期高齢者 (75歳以上) |
糖尿病患者・腎臓病患者 脳卒中・虚血性心疾患患者 |
---|---|---|
125mmHg / 75mmHg | 135mmHg / 85mmHg | 125mmHg / 75mmHg |
測定した血圧はすべて血圧手帳に記録し、来院時にお持ちいただきます。
糖尿病
糖尿病とは、血液中を流れるブドウ糖(血糖)の値が高くなる病気です。血糖値が高い状態は血管に大きな負担をかけ、様々な合併症を引き起こします。
● 糖尿病診断基準
- 空腹時血糖…食後10時間以上経過した血糖の値
- HbA1c…過去1~2カ月の血糖値の平均値
糖尿病の原因
糖尿病は、遺伝的要因(糖尿病の発症しやすさ)と環境要因(食べ過ぎ・運動不足)が組み合わさり、インスリンの働きが低下、血糖値が上昇することで発症します。このため、糖尿病の症状改善には、食事療法を中心とした生活習慣の改善がとても重要です。
当クリニックでは、クリニック独自の糖尿病パンフレットを用いて、診療時に【1分ミニ糖尿病教室】を行っています。
オリジナルのパンフレット
糖尿病の合併症
血糖が高い状態が続くと、全身の血管を痛めてしまい、気付かないうちに血管がふさがることで心筋梗塞や脳梗塞を発症することがあります。合併症には以下のような細小血管障害と大血管障害があります。
合併症の予防
糖尿病合併症を予防するために、HbA1c(1~2か月の血糖値の平均値)を7.0%以下にコントロールすることが大切です。
当クリニックでは、HbA1cの検査結果をその日にお伝えし、食事・運動指導も行っております。
● コントロール目標
目標 | 血糖正常化 を目指す時の目標 |
合併症予防 のための目標 |
治療強化が困難 な際の目標 |
---|---|---|---|
HbA1c | 6.0%未満 | 7.0%未満 | 8.0%未満 |
合併症予防のために、HbA1cは7.0%未満が目標です。
また、空腹時血糖は130mg/dl未満、食後2時間血糖値は180mg/dl未満を目指しましょう。
糖尿病は「完治させる」ことよりも、「コントロールし合併症を発生させない」ことを目的とし、人生と共に付き合っていく病気です。頑張りすぎず、諦めず、当クリニックと二人三脚で継続して取り組んでいきましょう。
脂質異常症
LDL(悪玉)コレステロールや中性脂肪が高くても、それだけでは自覚症状はありません。しかし、血液がドロドロのため、体中の血管の中で動脈硬化を進行させ、心筋梗塞や脳梗塞を引き起こします。ライフスタイルの欧米化が進み、日本人も脂質異常症・心筋梗塞・脳梗塞が増えてきています。
● LDL(悪玉)コレステロールが高い場合の動脈硬化の進行
LDL(悪玉)コレステロールのほか、中性脂肪も肥満や脂肪肝をきたし、動脈硬化を引き起こす要因になります。
● 脂質異常症の診断基準
高LDLコレステロール血症 | 低HDLコレステロール血症 | 高トリグリセライド血症 | |
---|---|---|---|
コレステロール | LDLコレステロール | HDLコレステロール | 中性脂肪 (トリグリセライド) |
数値 | 140㎎/dl以上 | 40㎎/dl未満 | 150㎎/dl以上 |
リスクに応じた脂質管理
リスクに応じて、LDLコレステロールは管理目標値が異なります。以下のチェックシートで今抱えているリスクと目標を確認してみましょう。
まずは日常生活の改善を
まずは、日常生活のできることから改善し、脂質異常症を少しでも改善するような生活を送ることが大切です。動物性脂肪のとりすぎや喫煙、多量飲酒などの習慣がある方はできることから改善していきましょう。
- 動物性脂肪を控える
- 適量でバランスの良い食事
- 禁煙
- 適度な運動
- お酒は適量に
薬物治療について
食事・運動療法を行っても、脂質異常症が改善しない場合、お薬での治療が必要です。すでに動脈硬化を来している方、糖尿病・高血圧・喫煙などのリスクを有している方や、家族性高コレステロール血症(遺伝)の方、は、基本的には薬物治療が必要です。
高尿酸血症(痛風)
尿酸値が7.0mg/dlを超えた状態が長く続くと、血液に溶けきらなかった尿酸が結晶化して関節に沈着、蓄積します。この蓄積した尿酸の結晶が、暴飲暴食・ストレス・激しい運動などをきっかけに、痛風発作の発症に繋がります。痛風は高尿酸血症を治療しない限り、発作を繰り返してしまいます。
尿酸値が7.0mg/dlを超えてしまった方は、まずは生活習慣を改善しましょう。
● 尿酸値が高い方の生活習慣の改善
- 肥満の解消
- お酒は適量に※1
- 水分摂取※2
- 適度な運動
- ストレス発散
- プリン体を摂取しない※3
- 飲酒量は1合を目安にしましょう。
- 水分は1日2L以上飲みましょう。
- プリン体の多い食品は高尿酸血症の原因となります。プリン体の多い食品(干物、レバー、ビールなど)の摂取は避けましょう。
治療
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● 高尿酸血症の治療
生活習慣の改善で十分に尿酸値が下がらない場合は、尿酸値を下げるお薬を内服します。
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● 痛風発作の治療
痛みを和らげるために、関節の炎症を抑える治療を行います。
ぜんそく
ぜんそくは、炎症により気道が狭くなって空気が通りにくくなる病気で、咳や痰、「ぜーぜー」「ヒューヒュー」という喘鳴、息苦しさを認めます。最近では、咳だけの喘息(咳喘息)も増加しています。
喘息の治療は、症状をしずめることはもちろん、喘息発作が起こらないように予防することも大切です。
● 日常生活のポイント
- ストレス発散
- 十分な睡眠
- 禁煙
- 室内環境を整える※1
- 身のまわりのアレルギー源を減らすことで喘息の予防に繋がります。
治療
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● 吸入ステロイド薬
気道の炎症をおさえる吸入ステロイド薬が基本です。